『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『新耳袋殴り込み リターンズ』


新耳袋殴り込みリターンズ ギンティ小林
           洋泉社¥1200』

前作『新耳袋危ないパワースポット』の世間の評価にちょっと懲りたのかと思ってしまうほど、心霊探検成分が高かったです。ド突き漫才的成分も抑え気味、内輪ではしゃぎ過ぎることなく、でも挑発行為はいつもどおりで臨場感たっぷり。前作がイタすぎたせいか、会心の一作だと思いました。

新耳袋で「出る」と言われる心霊スポットに土足で踏み込み、挑発行為で霊の怒りを撮る。
このアイデアや斬新すぎるアプローチの仕方って、知的財産権の対象になりませんかねww。
心霊スポット探検で随行した霊能者の「あそこに、ここにも」とかタレントの「なんか肩や背中がしんどい」などのお決まりコースをとらずに、いい大人がマネしちゃ絶対恥ずかしくなるような、正気の沙汰とも思えない探検を、本気で敢行する。これって超オリジナルですよ。強烈過ぎて、ギンティ以外がやるとつまんない二番煎じになるんじゃないかな。
特に今回は、霊に映画出演を交渉するというビックリな呼びかけがありました。深夜の青木が原樹海の自殺現場で強烈な寂しさに襲われたギンティが、
『ひとりで寂しくありませんか?
 ここに来てビデオカメラに映ってみませんか?
 こんな静かな場所でひとりで死ぬなんて。
 寂しくありませんか?
 映画は素敵ですよ。
 映画に初めて出るオバケになってみませんか?
 ここで亡くなった方、どうでしょう?』
そう必死で呼びかけるんです。繁華街の呼び込みのように不謹慎だと取る向きもあるでしょうが、ちょっとホロリときました。ギンティさん、無意識に慰めの言葉をかけてるんじゃないかなあ。これからもいろんな突撃現場で、
「寂しかったら、悔しかったら、何か言いたいことがあったらカメラに映ってみませんか?」
と呼びかけ続けてたら、そのうちどこかの現場で、生前お笑い好きだった霊がアップを始めてくれるかもですよギンティさん!

あと、強烈に不気味だったのが『怪奇要塞マンション』。
不動産情報と実際のつくりの違うマンションで気味の悪い現象がたびたび起きる…という話。うわーイヤだな~こんな話。生きてる人間が絡んでるのかどうなのか、今までの不謹慎突撃モノとはかなり趣きの違う探検になってます。こんな意味不明に気味悪い物件にも殴りこめるんなら、加門七海の三角屋敷にも突撃してくださいよギンティさん!ww