『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『岩井志麻子 現代百物語シリーズ&あの女』


『現代百物語 岩井志麻子角川ホラー文庫¥514』
『あの女 岩井志麻子メディアファクトリー¥524』

最初にこれ↓を読んで、


すごく面白かったんで、これはシリーズ最初から読まねば!と思い、これ↓を読み、

 

頻繁に登場する「あの女」のそもそもが書かれているこの本↓を読み、


どす黒くてイタすぎる話のオンパレードにだんだんしんどく、とゆーか正気に戻り始め、あとの2冊↓は消化試合のノリで読み終わりました。


イッキ読みしたから、「あの女の話」の毒気と「設定を変えてあの女の行状を取り憑かれたように書き続ける著者」の執念にあてられてしまいました。

現代百物語シリーズはすべて1話2ページで読みやすく、心霊というよりも著者の見聞きする、あるいは身近にいる、
「心の底に暗闇を持つちょっとアレな人たち」
を題材に書かれています。

シリーズ第3冊目『生霊』を最初に選んだのは、第49話「セーラームーンの刺青」に戦慄したから。
全身が美少女戦士の刺青で覆われた風俗嬢の話なんですが、戦士のひとり、セーラー○○だけが彫ってない。セーラー○○の決めポーズをとって「わたし自身がセーラー○○だから」と大真面目に言い放つ嬢に、絶句のあまり勃たなくなった男性客。

こういう「もうこっち側に戻ってこれない人生観」みたいな話が衝撃すぎて、一冊イッキ読み。この著者の本は初めてですが、表に出せない特殊SMの話だとか、詐欺師をだます詐欺師の話だとか、風俗嬢が恐怖する客の話だとか、なんかもう特殊すぎる人たちとのつきあい深いなーこの著者。

全シリーズ通して、相当のページ数を割いて「とある女」が登場。女の素性や著者とのなれそめ(?)が『あの女』に書かれてあります。
「あの女」の異様さ、あの女に通じる奇妙さと痛々しさを持った女たちの話ばかりでもうグッタリ。でも一見違う女の話に見えても、生活背景や人物設定を変えつつやっぱり「あの女」のことを書いているのかもしれない。

まっとうな表街道を普通に歩く常識的な人間にはまったく関係ない話ばかり。
だからこそ、このシリーズで紹介されるアングラ街道の話に驚きたい!という人にオススメな本です。