『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『平安ガールフレンズ』


『平安ガールフレンズ 酒井順子
       角川書店¥1500』

清少納言紫式部藤原道綱母菅原孝標女和泉式部。授業で必ず習う平安ビッグネーム5人の女性作家の人間像を、超等身大かつ超今風に書いてみた、という本です。

知性やウィットを披露し、「いいね!」と言ってもらえることに無上の快感を見出す清少納言

自己アピールを良しとせず、「昨夜はうっかり寝ちゃって試験勉強ぜんぜんよ困った困った」と言いながら実はしっかり勉強してて解答用紙は高得点、本当はちやほやされたい願望がメチャ強かったんじゃないの?と思われる紫式部

精神的にすぐに落ち込むタイプでその感情を夫にも息子にも押しつけ、なにかっちゃ出家してやるやる詐欺の激しい性格な藤原道綱母

二十歳過ぎても「いつか必ず美しくなって夕顔や浮舟みたいになるの」と本気の中二病を抱えていた菅原孝導女のアラサー後の現実とは。

天然の誘い受け体質で、男性に嫉妬心をかき立てさせてしまうモテモテ歌人和泉式部

千年の年月に耐える素晴らしい文学作品を残した功績とは別にして、みなさん意外とこじれた性格してます。
清少納言はドライで付き合いやすそうだけど、白か黒かの極端思考的な人で誉められたがりだし。
藤原道綱母はいつもネガティブな結論を出して、その思考に振り回されてばかりだし。

著者の軽妙で読みやすい文章のおかげで、千年以上もへだたりのある女性たちの人間味が一気に立ち上がります。5人がとても身近に思える本です。みんな自分のキャリアや介護、老後に悩んでいるのね。

ではあなたはこの5人のうち誰とガールズトークして日頃のストレスの発散したい?と著者はオビ文で読者に質問投げかけています。いろんなタイプの当時の女房とお話してみたいけど、この人はちょっと遠慮したいなあと思うのは藤原道綱母かな。意地っ張りだわ悲観的だわで、楽しいトークは期待できないかも。