『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『恐怖箱 海怪』

『恐怖箱 海怪 加藤一編著
       竹書房文庫 ¥650』

自分は海沿いの漁師町生まれの漁師町育ちですが、自分の育った地方の小さな町の閉塞性を思い出させるような、じっとりと湿った感じの話ばかり。排他的な環境やそこに生きる人たちを強調したいあまり、かなり脚色したのかなと思わせる話が多かったです。創作系が好きな人は面白いと思う一冊。
「蟹」水死体を食べてたカニを食べ放題の飲食店で知らずして食べる話。
「海灯籠」これぞ排他性むきだしの集落って感じの話。
「海の向こうから」「ヤエン」自分の読解力不足なのか因果関係がよくわからない話。
海の怪にふさわしい湿気った話が多い中、「黒い浮き輪」「移される」「見たな」「悪役俳優」は乾いた風を感じる話。「黒い浮き輪」は叔父さんがいいキャラしてるし、「移される」「悪役俳優」は天狗の仕業としか思えない笑い話だし、「見たな」はメチャ可愛い話。一番記憶に残りました。