『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

平安本

『平安朝 皇位継承の闇』

『平安朝 皇位継承の闇 倉本一宏著 角川選書 ¥1700』平安王朝の天皇の狂気は果たして正当に書かれていたのか、を追求したかなりマニアックな本。このまま傍流で終わるのはいやだ!と野心まんまんな人物が、どれだけ主流をおとしめることに腐心したかが歴史…

『新・紫式部日記』

『新・紫式部日記 夏山かほる著 PHP研究所 ¥1600』フィクションとはいえこんな設定見たことない!とひっくり返るほど大胆な仕掛けがあって、途中からかなり熱中して読んでしまいました。てっきり『紫式部日記』の現代語訳的な小説だと思って購入。道長一族…

『牛車で行こう!』

『牛車で行こう! 平安貴族と乗り物文化 京樂真帆子著 吉川弘文館』表紙の美しい女車は、宇治市源氏物語ミュージアムに展示されている実物大の牛車。ミュージアムで初めて見た時、うおおでかいなーと予想外の大きさにびっくりしました。物見窓なんて見上げる…

『紫式部の恋』読みました

『紫式部の恋 近藤富枝著 河出文庫¥780』紫式部の推し活始めて数十年、おはようからおやすみまで彼女の暮らしを見つめ続けて数十年。それくらい紫式部の人となりに言及した濃厚な内容です。大学教授でゴリゴリの古典文学研究者かと思いきや、文部省からNHK…

『平安ガールフレンズ』

『平安ガールフレンズ 酒井順子著 角川書店¥1500』清少納言、紫式部、藤原道綱母、菅原孝標女、和泉式部。授業で必ず習う平安ビッグネーム5人の女性作家の人間像を、超等身大かつ超今風に書いてみた、という本です。知性やウィットを披露し、「いいね!」と…

『紫式部すまいを語る』

『紫式部すまいを語る 西和夫著 TOTO出版¥1800』王朝文学を通して、平安時代の建築を建築史家が解説した本。TOTO出版とか初めて知った。トイレットペーパー型の川柳集「トイレ川柳大賞」とかめちゃ欲しい。王朝文学の随所に出てくる、日本人が古来より持っ…

『おちくぼ』

『おちくぼ1~6巻 山内直美著 白泉社¥429』 落窪物語のコミカライズ。古典の落窪物語の小説化は田辺聖子氏や氷室冴子氏がありますが、どこにも氷室さんの名前が表記されていないにも関わらず、どうしても氷室さんの落窪物語を強く意識して読んでしまう。『…

『千年の黙(しじま)』

『千年の黙(しじま) 森谷明子著 創元社推理文庫 ¥940』帝ご寵愛の猫はどこへ消えた?出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、清少納言が牛車に繋いでおいたにもかかわらず、いつの間にか消え失せていた。帝を慮り左大臣藤原道長は大捜索の指令を…

『時平の桜、菅公の梅』

『時平の桜、菅公の梅 奥山景布子著 中公文庫 ¥724』男ふたりが表紙の平安小説とは珍しい!と思わず手にした本。しかも片方は見目麗しくないおっちゃんだ(←菅公)。中もざっと見たところ雪月花も涙も恋愛もなさそうだし。実際、かなりがっしりした感の政治…

『あたらしい「源氏物語」の教科書』

『あたらしい「源氏物語」の教科書 堀江宏樹著 イーストプレス ¥1500』まず表紙イラストがすごくかわいい。平成版源氏入門書にピッタリなステキな表紙です。実際中身も読んでて楽しくクセのない文章、ひとつの章にひとりの女君の軽快な解説、ミニコラムもよ…

『平安京の検屍官』

『平安京の検屍官 川田弥一郎著 祥伝社 ¥1700』…今をときめく右大臣藤原師輔娘安子が帝の子を宿した矢先、内裏に仕える女官左京太夫が変死した。外傷は見られないが、かすかに情痕がある。真相追及を命じられた検非違使・坂上元継は検屍の際、死骸を紙切れ…

『かぐや姫の結婚』

『かぐや姫の結婚 繁田信一著 PHP研究所 ¥1400』世に「かぐや姫」と呼ばれた姫君、藤原実資の娘・千古の生涯を辿りながら、平安王朝の姫君たちの実状を描く。知られざる史実が続々。(出版社公式HPより抜粋)いいですねー平安時代のトップクラス貴族女子…

『平安貴族の夢分析』

『平安貴族の夢分析 倉本一宏著 吉川弘文館 ¥2800』平安時代の貴族はどんな夢を見ていたんだろうか、というより、どういった傾向の夢をどういう意図で日記に残したのか、ということがわかる本。『権記』行成や『小右記』実資などは、現代人でも普通に見る「…

空想科学読本6 & 科学バカ人生!

『空想科学読本6 柳田理科雄著 メディアファクトリー¥1320』『空想科学読本3』で著者が書いた、「アルプスの少女ハイジがオープニングで操る巨大ブランコ運動」の笑撃の考察を読んで以来チェックしている同シリーズから平安ネタを紹介します。1.斉信に出…

『殴り合う貴族たち~平安朝裏源氏物語』

『殴り合う貴族たち~平安朝裏源氏物語 繁田信一著 柏書房 ¥2200』・藤原道雅、敦明親王の従者を半殺しにする・藤原能信、右近将監藤原頼行の強姦に手を貸す・藤原伊周&隆家、花山天皇の童子を殺して首を取ると、この本には従来の平安貴族のイメージとは程…

『平安女子の楽しい!生活』

『平安女子の楽しい!生活 川村裕子著 岩波ジュニア新書 ¥840』著書の『王朝生活の基礎知識』と『王朝の恋の手紙たち』を足してジュニア向けにわかりやすくした本です。ジュニア向け、といってもゼンゼンあなどれなくて、漠然と知ってるけど自分でハッキリ…

『歴史の中の皇女たち』

『歴史の中の皇女たち 服部早苗編著 小学館 ¥2800』古代から幕末まで、天皇家に生まれた女性たちがどのような人生を辿ったか、あるいは辿らされたのかが非常にわかりやすくまとめられている良本。古代-平安時代-中世前期後期-江戸時代に区分し、各区分を…

『ヒミツのBL日本史』

『ヒミツのBL日本史 ししゃも&喜多八 幻冬舎コミックス ¥1200』ついでに買ったような本でゼンゼン期待してなかったのに、予想に反してとっても面白く読めました。絵柄は3頭身のちびキャラ。かなり細かい雑学がギャグ漫画仕立てになっており、内容が内容な…

『もしも紫式部が大企業のOLだったなら』

『もしも紫式部が大企業のOLだったなら 井上ミノル著 創元社 ¥1000』もしも和泉式部や紀貫之が自分の会社で働いていたら?もしも元同僚の清少納言がブロガーになっていたら?百人一首に登場する人物の生態を現代ドラマ仕立てにしたギャグマンガ。一見初心者…

『王朝貴族のおまじない』

『王朝貴族のおまじない 繁田信一著 ビイングネットプレス ¥1600』坂田靖子が挿し絵を担当してます。この人こういう仕事もするんや!とちょっとレア。描く狩衣姿や付喪神はすっとぼけのファンタジー系と言うか、マネできない味わい深さがあって心地いい。そ…

『日本人なら知っておきたい日本文学』

『日本人なら知っておきたい日本文学 蛇蔵&海野凪子著 幻冬舎 ¥900』ネットで検索すると人気ですねーこの本。一般的に本の検索すると、まず出版社や通販関係のサイトが上位、そのあとレビューが書かれたブログがポツポツと並び始めるつーのが見慣れた検索…

『秘帖・源氏物語 翁』

『秘帖・源氏物語 翁 夢枕獏著 角川文庫¥590』外法の陰陽師・蘆屋道満と美貌の貴公子・光源氏の二人が、葵の上に取り憑いた妖しいものの正体をさぐる。初めは六条御息所の生霊かと思われたが、どうやらそれだけではないらしく…あとがきを読むと、著者は源氏…

セクシィ古文!

『セクシィ古文! 田中貴子著 メディアファクトリー¥900』買いたくてもレジに持って行くのをためらうような表紙。まえがきには、「エッチなことばかり考えている学生が、古文には実はこんな事ばかり描かれていると知ったら、まちがいなく古文の成績は上がり…

『色好みの構造』

『色好みの構造 中村真一郎著 岩波新書¥700』平安文化と切っても切り離せない風習『色好み』。けれどその『色好み』の概念も、物語や和歌をひも解いてゆくと、平安初期~中期~末期とその変遷ぶりはかなりのもの。在原業平に代表される、本能のおもむくまま…

『平安京のニオイ』

『平安京のニオイ 安田政彦著 吉川弘文館¥1700』”人が暮らせば必ず生じる生活臭。平安一の人口密度を誇る京のミヤコはどのようなニオイがしていたのだろう”確かに気になる。芸術の域にまで達した優雅な薫香の文化は、文献豊富で枚挙にいとまがありませんが…

『綺麗になる古典美人道』

『綺麗になる古典美人道 大塚ひかり著 小学館¥1400』美容雑誌『美的』に連載されたコラムをまとめた本。『医心方』美容篇を中心に、古典文学の中に見られる平安美人たちの具体例を挙げながらのエッセイです。平安貴族の追求した、モテる色・モテる香り・モ…

『古今黄金譚』

「古今黄金譚 林望著 平凡社新書¥680」『汚く臭く見たくもないもの』として隠されてしまう糞尿。しかし、化学肥料が出来る以前はこの糞尿しか農作物の実りを約束してくれるものがなかったわけで、「不浄だけど、豊作をもたらすありがたく神聖なもの」という…

『中世の女の一生』

『中世の女の一生 保立道久著 洋泉社¥2500』貴族・領主・百姓・下人の女たちの運命と人生を、絵巻物や物語文学をもとに検証した本です。貴族女性のライフサイクルについてはごくわずか。大部分が下衆女といわれている身分の女たちの人生についての話です。…

『中世の葬送・墓制』

『中世の葬送・墓制 水藤真著 吉川弘文館¥1900』この間読んだ『死者のゆくえ(佐藤弘夫著)』に引き続き、中世の葬送についての本です。平安時代前後に関して『死者のゆくえ』では、「天皇・高級貴族・高僧以外は遺体には無関心、死者への法要などの世間的…

『死者のゆくえ』読了

ようやく読了。太古から続く日本人の死生観がちょっとだけわかった気がします。結論から言えば、太古から「ここだけは変わらない」という死後の世界の観念てないようです。現在、死者は骨になったあと、その所在を示す石塔=お墓に入ります。死者の魂は骨が…