『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『あたらしい「源氏物語」の教科書』


『あたらしい「源氏物語」の教科書
   堀江宏樹著 イーストプレス ¥1500』

まず表紙イラストがすごくかわいい。平成版源氏入門書にピッタリなステキな表紙です。

実際中身も読んでて楽しくクセのない文章、ひとつの章にひとりの女君の軽快な解説、ミニコラムもよし、漫画も笑える。どこから読み始めても面白い。つまり著者は、
「若い源氏初心者さんに良い印象を持ってもらう」
ということに焦点を当て、かつ非常に力を注いだのだろうと思われます。難しい解説本よりだんぜんとっつきやすいです。

本文は特に目新しいものはなかったんですが、漫画がいいですねえすごく。
『映画「末摘花」予告編』なんて大笑い。たった2ページで「末摘花」「蓬生」がわかります。
『姫たちの御髪事情』の元ネタは、「宇津保物語」の蔵開き・藤原の君だと思うんですが、
「…すまし果てて高き御厨子の上に御褥敷きて乾かし給う云々」
「…などかまかでは侍るとは聞き召してらむを今日しもおほろけに。久しくすます御髪のやうに云々」
「かくて七月七日になりぬ。賀茂川に御髪すましに…」
おそらくこのあたりが漫画になってて本当に面白いです。

この本といい、『平安女子の楽しい!生活(川村裕子著)』といい、若年層向け源氏解説書のレベルってホント高いです。