『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪の職安 実録怪談』

『怪の職安 実録怪談  黒木あるじ著
      ハルキ・ホラー文庫 ¥590』

ハローワークの待合コーナーに、生前のいろんな職業の制服着た霊が座ってる、みたいなイメージをタイトルから受けてちょっと笑っちゃうんですが、その待合コーナーに紛れ込んだ生身の人間が霊たちにインタビュー…だったらギャグ本ですよねえ。じゃなくて、「その職業ならではの怪異」を紹介した本。タイトルでちょっと損してる感ありです。

実録怪談、と銘打ってます。しかし『怪談の学校(怪談之怪著)』に、
「取材した事実ネタをそのまま書いたのが実録、体験談をもとに、さらに怖い話に仕上げ直したのが実話」
のようなことが書いてあるんですが、怪談之怪の面々から見れば本書は「実録?腹いてーわww」になるのでしょうか。まあでも職業に関する怪異に絞ってみたあたり切り口新鮮、思わず手に取って購入。中の挿絵は、何もここまで気味悪くしなくてもいいんじゃないのってくらい味出してます。

全部で36話。美容師の怪、ビル清掃員の怪、音響技師・神主・不動産業者・キオスク店員などなど、どれもこれも面白かったです。取材した元ネタ+αの、「ベタなα部分」が見える話もあるけど、全体として怖さの核心が伝わる話ばかりだったのがよかったです。

ただ、この著者ってプロなのに、話のラスト数行が蛇足感というか、
「そこで終わらせとけばいいのに、ラスト数行を付け加えたばかりに台無しに」
みたいなのが多すぎ。