『怪の標本 福澤徹三著
ハルキ・ホラー文庫 ¥560』
怪の標本/雨音/受刑者/四十九日/訪問者
を収録。
表題「怪の標本」がまるで「忌談2」の前書きのような始まり方で、だらだらと名調福澤節が続きます。自虐節とも言っても可wwそこからフェードインするように実に自然にショート怪談が次から次へ並べられ、心地いい寝物語を読んでいるかのよう。
この「怪の標本」以外はおそらく創作怪談でしょうが、「受刑者」は、そのまま星新一のショートを読んでるような感覚でした。
「訪問者」は、これはもう著者の職業遍歴をそのまま披露したような書きっぷりで、愚痴がものすんごくリアル。安月給デザイナーの愚痴なら何ページでも書いたるわ!みたいな勢いで延々と主人公がグチグチ語ってます。が、ラストの締めくくりはゾッとくる迫力がありました。すごい。