『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怖い話』


『怖い話 福澤徹三著 幻冬舎¥1300』

3回見たら死ぬ、といういわくつきの絵があるが、本書のカバーイラストがまさしくそれである。
けれども、私が調べたかぎりでは噂に根拠はなく、ネット上の都市伝説とおぼしい。
そもそも、この絵を見ようと見まいと、人間はどのみち死ぬので死なない方が不思議である(本文より)。

おっしゃるとおりでございます。
怖い食べ物・怖い会社・怖い都市伝説・怖い酒・怖い絵・怖い怪談…などなど、心霊ネタから身の回りのリアルに怖い話まで、あれやこれやのエッセイ。
ギョエー本当にそんなことがあるのか!とおぞ気が走る実話と笑い話がまぜこぜになっていて、怖いながらも全体的にほのぼの感がただようエッセイ?です。

自虐ネタも多く、自身が体験した病院での怖ろしい治療、金になるなら何でもやったひどいバイトの数々から、どんなにひどい経験をしても呑みたくなる酒の話や実話怪談ネタ集めの苦労話(ここまでくるともう完全にボヤキ)まで、心霊ネタばかりを期待している人にはガッカリ本になるかもですが、いろんなジャンルの怖い話が満載。

個人的には「怖い刑罰」が一番怖かったです。怖すぎて前半読んでないし!
どんなにむごい刑罰があっても殺人を犯す人間が後を絶たないのは、殺害行為の一線を越える心理状態の人間には刑罰の恐ろしさは通用しない。
著者のこの文章が印象的でした。