『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪談実話 FKB饗宴3』


『怪談実話 FKB 饗宴3 平山夢明監修
         竹書房文庫 ¥648』

饗宴シリーズ第三弾。今回も小説界、演劇界、マンガ界とさまざまなジャンルから執筆陣が登場。特定業界ネタはとても好きなので、もっと開拓して欲しいところです。

印象に残った話をいくつか。
「怪(雑)談」
田中啓文。100%完全なる「実話」だったとしても「おもろない話」は出版されない。なぜなら「つまんない」実話は誰も読まないから。たしかに、深夜タクシーが女を乗せて、いつの間にやら女は消えて後部座席のシートが水でぐっしょり…なんて30年前なら怖がられただろうけど、今どきこんな程度誰も読みたがらない。実話で嘘じゃないモノを要求される怪談実話ってハードル高いよねーとグダグダ続く雑談、面白かったです。

「記録と怪異」
伊計翼。小学生の女の子が二人、池のほとりで宿題のスケッチをしてて、一人が行方不明になる話。残されたスケッチブックの何枚かの絵のあたりがすごく創作怪談クサイんですが、30年以上前の話とあって、北○鮮の拉致被害とか考えてしまった。神隠しなんて言葉でひとくくりにされるけど、背景には重い事件もあるのかも。

「はなさか遊び」
平山夢明。お寺の小学生の息子と一緒に墓場泥棒のマネごとをした同級生の話。墓の中に手を突っ込んで、骨壷を開けた二人がしでかした事もドン引きな行為ですが、怖いのはそっちよりも、
「やられた側にはその行為はどう映っていたか」
の描写。ううう恐ろし。