『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『おまえら行くな。犬神祟り編』

『おまえら行くな。犬神祟り編 北野誠
         竹書房文庫 ¥638』

体を張った心霊スポット潜入第何弾だっけ、覚えきれんくらいその都度買ってる。
もう呆れるくらい何度も言うけど、
ホント誤字多いな竹書房
『怪談の踊り場に来た。』
『楽屋は三階に楽屋がある。』
粗探ししてるわけじゃないですよ。原稿チェックしたら一発やろこんなの。
著者も出版社もお互いに校正丸投げ?せっかく心霊スポット潜入の臨場感にひたりたいのにテンションがガクーて下がるし。

とまあ文句言いながらも毎度毎度の心霊スポット深夜突撃レポートには感心する。
「岩手・松尾鉱山跡」は迫力あったな。生徒が大勢亡くなった学校跡とか事故の犠牲者の遺体安置した体育館跡とかの探検なんて怖すぎ。しかも標高1000mの高い山ということで、広大なのに俗世間から切り離された閉空間、想像するだけで恐怖で頭がおかしくなりそう。

タクシーの怪談も興味深いものが多々あり。防犯用の車載カメラに映った徐々にモヤモヤと消えていく女性客。北野誠が「その動画買取りたい!」とお願いしたけどタクシー会社が「怖くて削除した」と。
この車載カメラの登場で、怪談番組から「車の心霊ネタ」が消えつつあるような気がする。タクシーに限らず、心霊スポットから帰る途中で車の屋根がドンッ!とか、運転席の下から伸びる不気味な手に足首つかまれて動けなくなった心霊スポット帰りの若者たちとか、「車の後ろに霊が貼り付いてるからバックミラーみないで!」と叫ぶ自称霊感持ちとか。
車載カメラあったらぜーんぶ録画されるし。北野誠のように「画像に映る霊」を求めてあれこれ企画たてなくても車載カメラで終わっちゃう。いや、車載カメラどころかスマホさえあれば、車の屋根に乗ってる男も、肝試し帰りの車の屋根からフロントガラスに落ちるようにたれてる女の腕も、バンッバンッと車の窓やボディにつけられる謎の手形も、みんなみんなツィッター画像がネットに上がって終わり。
ということで、車載カメラや高性能スマホの登場で、タクシーの実話怪談というジャンルが絶滅する日は近いと思います。

タクシーカメラに限らずスマホがこんなに普及してるのに、カメラやマイクに心霊現象を収めたいと全国各地の心霊スポットをめぐりまくる北野誠氏やギンティ氏たち、何か矛盾してやしませんか。
突撃ネタが好きなだけに、このジャンルが先細りしていかないかと心配でなりません。