『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

枕草子に載せて欲しかったモクレン

ひと月以上も前の写メで完全に時期遅れですが、ハクモクレン


清楚で気品あるたたずまい、ちょっと離れてみると輝く燭台のような豪華さ。紫木蓮も同様の美しさ。清少納言が「木の花は」に、この開花寸前の美しさをどうして挙げなかったのか不思議なくらい。
木蓮の渡来はちょっとあとのようですが、紫木蓮は「和名類聚抄」にも出てるくらいなので、清少納言さん目にしたことあったと思いたいなあ。「木の花は」だけでなく、枕草子の中のどこにもモクレンの名がなくてちょっと解せん。こーんなに美しいのに。しかも赤紫でよろしき色なのに。
品種改良される前はもっと地味でつまんない花だったとか?もし、和歌にもまったく取り上げられてない花なら、「(平安時代の)辞書には載ってるけどゼンゼンなじみのない花」だったのでしょうか。それとも、中国から辛夷(しんい)と言う名の漢方薬として輸入された木だったので、愛でる花として対象外だったのでしょうか。

このモクレン、自分としてはベストな見頃はつぼみまで。樹上で枯れ始めると、目も当てられないくらいザンネンなお姿になってしまいます。


大きくて真っ白なだけに、どんどん汚れていくカンジ。白い和紙の燃え残りみたいです。花びらが一枚一枚落ちて、土の上で茶色に枯れていく様子はまさに和紙の燃えカス。


茶色いのはすべて枯れた花びら。ま、地面で朽ちていくのはよいとして、モクレンのつぼみの美しさと、汚れるようにみすぼらしく枯れていくサマがあまりに対照的で、少納言さんにひと言コメント欲しかったナーと思った次第でありました。