『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『異職怪談』


『異職怪談 正木信太郎 しのはら史絵 著
          彩図社 ¥1200』
珍しい職業に就いている方々が、就業中に遭遇した怪異集。
前書きでこの本のできた経緯が述べられている『はじめに』が、すでに第一話も同然の怪談になっているのが珍しいです。
登場する方々の職業は、実話怪談によく登場する神主・システムエンジニア・湯灌師・バス運転手から、あまりお見かけしないゴルフボールダイバー・伝書鳩ブリーダー・ロケーションコーディネーター・絵馬卒塔婆製造業など多岐にわたっています。
その職業じゃなくても、という怪異もあったような気もするけど、大変面白かったです。
「ロケーションコーディネーターの怪異」が一番イヤな話でした。もし自分がこのロケーションコーディネーターの立場だったらゾッとする。あとがきに、
”話のラスト数行になって文字通り「あっ!」と言ってもらえたなら光栄だ。あるいは、天を仰いで「やられた…」と唸ってくれてもよい。どちらでも、私は小躍りしてしまうくらい喜ぶだろう”
との、正木信太郎氏のもくろみどおりな話でした。このロケーションコーディネーターの怪談は、何日たっても、と言うかこの本の中で一番記憶に残るイヤな話(ほめてる)。
「絵馬・卒塔婆製造業の怪異」も不気味な話。怪異の原因がその場所由来じゃなくて、絵馬や卒塔婆の素材=木材が原因なのかも?という視点がすごく新鮮でした。
「システムエンジニアの怪異」は完全に東京03がしそうなコント。面白かったです。