『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪談を書く怪談』


『怪談を書く怪談 加門七海著 
  メディアファクトリー ¥1300』

本書のために新たに三篇書下ろしと書いてあるけど、全部で何篇あるんだろう、読んだことある話ばかり再録されてたりしたらうーん、と思いつつ購入。
結果、12話のうち記憶に残っている話が3つ。再録やめてほしい派だけどまあ良しとするか。

「とある三味線弾きのこと」という話が再録されていました。この話、好きなんです。著者が掲載に選んだということは、ご自身のお気に入りなんだろうか。ちょっとうれしい。おしゃれな情景描写が怪異の怖さを上回っていて、際立って綺麗な短編です。傷心の志乃々め姉さんを誰か成仏させてあげてと願うばかり。

本書ラストの書下ろし「怪談を書く怪談」読んで、著者お人柄が丸くなったのかなと思いました。と言っても2013年初版ですから今から8年以上前。現在お幾つなのか知らないけど、昔の著者は自ら釣られに行って、「寄らば斬るぞ」的スタイルで、霊をザクザク斬りまくってた感じに思えたけど、ラストの話では何と言うかこう、怪異の行く末を傍観して見届けてあげてる感じ。仏教用語の観念みたいな。
穏やかになられましたね。合掌。