『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪社奇譚 二十五時の社員』

 

『怪社奇譚二十五時の社員 黒木あるじ著 だいわ文庫 ¥600』

怪異に遭遇する場所が職場であったとしたら…
職場にまつわる話だけを集めた奇譚の数々。

職場、と言っても雑居ビルや都会のオフィスの話多し。
怪異に遭遇した人に恨みを持つ霊とかでなく、その会社のその場所に巣くっていたモノに出くわしてしまう系の話が多かったです。面白かった。

道に迷って難儀していた葬儀屋を誘導してくれた死人の話『でむかえ』。
仕事に疲れ果て、会社の屋上でぼんやり飛び降りを考えている会社員を取り囲むモノの話『黒い勧誘』。
この二つは日本昔話のような風景が目に浮かんでちょっとほのぼのしました。
『ご託宣』、いわゆるこっくりさんを題材にした話ですが、漫才のネタとしてどっかに提供したらすごく面白くなるかも。『おとなりさん』も同様。台風接近で洪水に流されそうな車を一生懸命押さえてくれてる卒塔婆がすごくけなげ。この2話、かまいたちだったらオチで爆笑させてくれると思う。
作者本人がこの本の原稿を仕上げている最中に体験した話『余談』。こういう思わせぶりな書き方ホント好きですよねこの作者。自己顕示欲強い人なのかな。

オフィスだけじゃなく地方都市のメーカーとか工場や事業所の話なども手掛けてほしかったです。事業所にも暗黙な謎ルールとか、表沙汰になってないけど実はね…って話はきっとありますよ。