『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『酔 怪』


『酔怪 加藤一編著 竹書房文庫 ¥650』

夜の酒場に集まる客やそこで働く人々の目撃談、お供え物の酒にまつわる怪談、酒を使った奇妙な儀式などなど、お酒とそれに絡んだ人々の恐怖短編集。

怪談作家が怪異を体験した人に取材する時、酒の席を設けて話を聞く、と何かの本で福澤徹三氏が言っていたので、それらの話の中で酒関係ばかりを収集した本かしらと期待していたのですが、悪酔いの果ての幻覚とかありえない酒グセゆえの話とか、そういのもチョコチョコあったような。
例えば「汲めども尽きず」「上がり込み」「守護霊」「開いててよかった」「歌舞伎町の片隅で」などなど。もっとあるけど読み手としては「まあそんなこともあるんじゃない?」程度の感想しか持てませんでした。
「苦手なもの三つ」は相模さんの苦手なものより、社長が定期的に落とし物をする謎の方がすごく気になった。「飲み干す」の仲田君は人として良心が痛まないのかと不愉快感が残った話。「アブサン」はもう完全な恋愛小説。「お屠蘇」は、子供を使ってこういう話の終わり方して欲しくなかったと言う話。

悪酔いする酒に首まで浸かった気分。全体的にモヤモヤと救いようのない感に満ちた話でした。