『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『鉄道の怖い話』


『鉄道の怖い話 西本裕隆著 廣済堂文庫 ¥571』

オビ文は、
「ショック!すべて実話!!
鉄道にまつわるホラーストーリー
トンネルで、駅の待合室で、深夜の踏切で、
死者の怨霊が襲いかかる…」
です。

身の毛もよだつキャッチコピーです。中身も攻撃的な霊が出てくる話が多し。
2003年第一版発行。前出の『現役鉄道員幽霊報告書』2014年第一版発行は、自殺者霊がただただ訴えたくて徘徊する系が多かった印象に比べて、こちらは何の面識もない第三者に恨みをぶつけてくる系がとても多い。10年の間に実話系怪談の流行が変わったんだと思う。
凄惨な描写も多く、読者がこういうのを要求したのか怪談作家がこういうのを描きたがったのか、電車に飛び込んだ人がかなりグロテスクに描写されています。最近見なくなったなーこういう描き方、と読んでて思いました。

自殺者霊の怪異に比べて、大事故に巻き込まれた方々やトンネル建設のために駆り出された昔の受刑者たち、不慮の事故に遭われた方々の怪異にそれなりの配慮がされてる感じがしました。
自殺者の霊が「オレが飛び込んだ時に手を合わせて拝んだおまえを襲ってやる」「次はおまえの番だからな」「足首つかんで動けなくしてやる」と第三者に害をなす悪霊的な存在になっているのに対し、死ぬ気まったく無いのに不測の事態で亡くならざるをえなかった人たちは、ただスーッと消えていく話が多い。著者なりの線引きかなと思いました。
この本の最後の方で「自殺者には同情するな、同情すると取り憑かれるよ」と言い切ってるし。