『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『現役鉄道員”幽霊”報告書』


『現役鉄道員”幽霊”報告書 氷川正著 学研 ¥1000』

サブタイトル「幽霊が出る駅、路線教えます」ズバリ駅名が表記されてるのは超有名どころの駅で、ほとんどは「東京近郊県のA路線のB駅」みたいな表記です。がっかりするかどうかは読み手の気持ち次第。

”視える”鉄道員さん(著者)が日々業務に勤しむ中で、見たり聞いたり体験したりした怪談本。幽霊の出現の話は50ページ弱(第四章)くらい。残りは、運転士さん保線員さん整備士さんその他鉄道業界人が体験した事故や自殺者との遭遇譚です。線路に横たわってたり飛び込んだりだけじゃなく、踏切トンネル保線小屋まで多岐にわたる事故譚のルポです。

線路に飛び込みたいと考えてる人は、この本読んだらちょっと考えが変わると思う。後始末する駅員の身にもなってみろ、と。遺体の後片付けだけじゃなくてダイヤ修正、報告書その他。1時間弱で運行再開できる状態にするなんて現場の人たちめちゃくちゃがんばってるのに、飛び散って回収しそこねた四肢の一部を見つけて欲しくて周囲をさまようなんて、みずから死を選んだくせに何の関係もない他者に迷惑かけ過ぎ。そして執着し過ぎ。
ロッカーに掛かってる駅員の制服を物理的に持ち出して紛失させる霊の話があったけど、霊にそんな能力あるなら、マンションのベランダまで飛んだ自分の首を見つけて欲しくて這いずり回るとかアピールせずに、生きてる人間にちゃんと見えるところまで持って来いと思ってしまう。

実例満載でとても興味深く読みました。

雨の日の朝に、とある踏切わきに必ずたたずむ女子高生の霊。
来る日も来る日も同じ線路わきに立つ男性の霊。
この著者に、『おまえら行くな』でおなじみ北野誠に連絡してみようという発想がなかったのがとても残念です。写真や動画に霊を写したくてたまらない体当たり企画をずっと続けている北野誠一行に、「いつもここに出るんですよ」と告げれば大喜びで飛んでくるのに。誰もがわかるくらいバッチリ写れば、北野誠らの長い長い心霊ロードは終わりになるのになー。