『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『鬼談百景』

 


『鬼談百景 小野不由美
    メディアファクトリー¥1600』

本屋に『残穢』とワンセットで並んでいて購入。ネットでは『鬼談百景』を先に読む事をオススメする声多数でしたが、うっかり『残穢』を先に読んでしまい、結局どちらを先に読もうが別にどうでもいいことがわかりました。
残穢の元ネタが2、3ほど鬼談の方に書かれているらしいのですが、ああそういやそうでしたー程度の感想。絶対に鬼談が先!というわけでもないです。

怖くない、物足りないという感想も多いようですが、こういう腑に落ちない話、オチのない不気味な話はすごく好み。

学校の怪談かとでも言いたくなるくらい学校ネタ多しです。

どこまでも続いて終わりにたどり着けない深夜の階段『増える階段』。
誰も持ち出していないのに時折現れる美術室のキャンバス『白い画布』。
修学旅行先で、深夜延々と非常階段を駆け下りる足音がする『非常階段』。
コックリさん。トイレの鏡。階段踊り場の合わせ鏡。その他いろいろ。

学校ネタあるあるとでもいいましょうか、そういや自分もこんな経験したなあ~と学生時代を思い出させられ、他のエッセイ的な実話系怪談本では味わえないものがジワジワきます。

特に『掃除のテープ』。
小学校の掃除タイムに放送部が流す音楽テープは部員がお気に入りの曲を集めてテープを作る。歴代の部員が作ったテープは淘汰が繰り返され、ある日適当に選んだテープが…という話。うわーそうそう、そういやそんなストック箱が放送室にあったあった。クラシック名曲のイントロばっかりをテンポよくつなげたのがあって、アレ何ていうタイトルだったっけ思い出せんw

黒板コックリさんも一時期大流行りしたしw集まるメンバーいつも同じで、くっだらないことや恥ずかしいことばっかり聞いてたw

怪談とは無関係の記憶が掘り起こされるあたりがとってもリアル。この作家さん、よくまあこんな設定を知ってるよなあとヘンに感心した次第です。

怖かった話は『壁下地』。
開けっ放しの風呂の湯気で湿気った廊下の壁紙が徐々にめくれていって、下から別の壁紙が現れて…という話。目の前で壁紙がめくれていくのがありありと思い浮かべられるくらい、ジワジワゾクゾクする文章です。