『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『シルマリルの物語』

 


シルマリルの物語 上下 J・R・Rトールキン
   田中明子訳 評論社¥2800/¥2000』

唯一なる神”エル”の天地創造から傑作『指輪物語』の時代までを描くトールキンの壮大な神話世界。

古本屋で上下セット合わせて¥500で購入。信じられない。いいのかこんなに安くて。良書ですよこれ。

指輪物語にいたるまでの神々-エルフ世界の歴史を描いた物語。
モルゴスやサウロンバルログって何者?ウンゴリアントってどっから来たの?
フロドや中つ国のエルフたちが船で向かった西の果ての世界はどんなところ?
指輪物語を読んで疑問に思った事柄の、全てのルーツがわかる本です。
トールキンの構築した、底知れない神話世界観に圧倒されそうです。

よく似た地名・よく似た人名に混乱しページを戻ってみても、もう何が何やらな箇所がいっぱいありましたが、大まかな流れをはずさなければ、勢いで十分ついていけるしエルフワールドにも浸れます。思い上がったエルフ一族と人間たちへの慈悲と、暗黒モルゴスの手に落ちようとしている中つ世界に救いの手を差し伸べてくれるよう神々に嘆願するエアレンディルのくだりなどは、胸が熱くなります。水の神ウルモが、物語の要所要所で河の中から助言をもたらしてくれるのも同じくむねあつ。ウルモ、中つ国を本当に愛してくれてます。

自分たちの国の周りに結界を張って、外部から隠された美しいエルフ王国を長年維持し続けてきたシンゴル王と王妃メリアンの、シンゴル王がドウォーフに殺されたくだり。
王を失ったショックで統治してきた王国を放棄、西の彼方のふるさとのヴァラアル神国に戻っちゃうところなんて目がテン。統治者としての責任感とか愛着とかないのかメリアン。神さまってわかんない。

指輪物語より先に読んでも、面白さは今ひとつだと思います。
理想的なのは、指輪物語シルマリルの物語→再度指輪物語
これで指輪物語シルマリルの物語も10倍面白くなります。