『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

清浄歓喜団&餢飳(ぶと)

一週間ほど前に宇治平等院源氏物語ミュージアムに行ってきました。
そちらはそちらで楽しかったですが、JR伊勢丹で見かけたこっちの方がうれしかったのでご紹介します。

JR伊勢丹地下街の和菓子のあたりを歩いてると、繊細な和菓子に混じって茶色い壺みたいな形のお菓子が。清浄歓喜団…北○鮮の喜び組みたいな名前なのに能書き見るとすごく由緒ある唐菓子で、まったく知らなかった自分をちょっと恥じつつこれはぜひ食べねばと購入。なんとなく名前だけ知ってた餢飳(ぶと)も購入。

 


奈良時代から姿を変えずに伝わる密教のお供え物で、白檀・桂皮・竜脳・薄荷・丁子・肉桂・胡椒の七つのお香をこしあんに練りこんで純正ごま油でじっくり揚げた唐菓子。月に二回、精進潔斎して門外不出の製法で調製するとかなんというレア。出会えてラッキー。
このお供え物のお下がりをいただけるのも貴族だけだったとかで、超庶民は心がたじろぐのですが実食。


か、堅えぇ…!
現代人は柔らかい物ばかり食べているとはいえこれはかなり堅い。1000年前の人は歯が丈夫で強かったんだなーとしみじみしてしまいました。

パン切り包丁で切ってみます。


粉々になるかと思った。でもパサついたあんではありません。皮もわりと薄いのにこの堅さ。芳ばしさも歯ごたえも十分、一度割ってしまうとけっこういい感じに食べられます。口に広がるお香の香り…というかとても良い香りの漢方薬を食べてるような気分でした。ありがたいありがたい。

さて餢飳(ぶと)です。

 


こちらはお香は練りこまれていないようですが、やはり神さまへの神餞菓。清浄歓喜団はこしあんでしたが餢飳(ぶと)はつぶあんです。水分少なめでとてもしっかりしたあんです。


写メ撮る前にうっかり一口いってしまい、噛んだところは向こう側に隠してます。
どちらのお菓子も、現代のサクサクやフワフワ感とは対極の、歯ごたえしっかりで骨太な食感でしたが、お香の香りする芳醇な味はとても心地よく、昔の貴人にとって本当に神秘的でありがたいお菓子だったんだなーと思いました。