『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『里山奇談 ~よみがえる土地の記憶』

 

里山奇談 よみがえる土地の記憶
 coco 日高トモキチ 玉川数 著 角川文庫¥620』

里山に生息する昆虫を追いかけることが趣味の虫屋たちが野山で遭遇した、怖くて不思議な出来事をまとめた本。
全41話の短編集。

『ヱド』の、いわくつきの土地は必要悪で、入ってはならない不吉な土地なのに、なくてはならない必要な土地。その理由が面白くもありゾッとした。
『古井戸』の神主さんのお話「その土地におわす地神さまに水を使う許しを請い、契約し、そしてその土地での水の使用を終了するときは礼を尽くして契約の終わりを告げねばならない」が謙虚でとても良かった。
『巣』は死者の顔の穴という穴に蜂と蜂の幼虫がびっしりと、という話。以前当麻寺の仁王像の頭部内にミツバチ数千匹という大ニュースが奈良にありまして、そのドン引き動画を思い出してしまった。

怨恨や凄惨な事件などがないので怖さ成分はとても薄いです。が、海にも山にも人知を超えた霊的な気配というものがいたる所に存在し、人界と異界の境目あたりでは何かの拍子にその霊的な気配に触れてしまうんじゃないかな。Eテレ「昆虫すごいぜ」でおなじみの香川照之氏もこの手の体験ネタいくつか持ってそうな気がする。