『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

風俗博物館で平安時代を堪能してきました


京都の風俗博物館で源氏物語世界を堪能してきました。
5Fエレベータの扉が開くとババーンと華やかな儀式の場面が広がっています。


藤原道長の三女威子立后の儀のあとの饗宴です。
御簾の向こうが中宮・威子。向かって左側に、扇を持った人物が柱に隠れて見えますが、


その扇の人物が太政大臣道長(↑右側の人)。
この饗宴であの有名な、
「望月の欠けたることもなしと思へば」
を詠みます。歌を詠んだ記事は道長日記の御堂関白記に載っていませんが、同席した大納言藤原実資が自分の日記「小右記」に、
”道長が詠んだ後、返歌代わりに皆でその歌を嫌味を込めて唱和してやった”
と記録していたから後世に伝わったのです。
この華やか極まる場面は、儀式に同席した実資の「小右記」の記録をもとに具現化したもので、


一番右が右大臣公季、その奥左に摂政頼通。一番左が左大臣顕光。
緑色の衣装は楽人、オレンジ色の衣装は酒を注いで回る行酒の殿上人。
簀子縁は公卿でいっぱい、御簾の向こうはおそらく中宮に仕える上臈女房でいっぱい。雅楽が流れてお酒も回って、道長もさぞかし有頂天だったんでしょうね。


「紫式部日記」に書かれているシーン、位昇進のお礼に中宮彰子に取り次いでもらおうと女房局にやってきた藤原斉信(左)と藤原実成。


ああ今にも動き出しそうな躍動感。斉信、君に会いに来て良かった。何てかっこいいんだ。


冊子作りの現場。左奥は継紙の紙を切る人、左下は切った紙を継ぎ合わせる人、右下はその紙に書写をする人、右奥は糊付けする人。


継紙の作り方が超リアル。
これらの製本作業はそれぞれの工程に特に秀でた女房が担当したと思われます。


泔坏(ゆするつき)や角盥(つのだらい)などの洗顔調髪道具もステキ。これは雛遊びしたくなりますわ。


自邸でくつろぐ紫の上と袿姿の源氏の君。磨き抜かれた文机が鏡面のように光っています。


裳着の儀を受ける明石の姫君と腰結役の秋好中宮。明石の姫君がとっても華奢で美少女で、人形でこんなに可憐なたたずまいが表現できるのかと驚きました。

どの人形も生き生きとした仕草やポーズで、閉館後、夜中にみんな動いてるんじゃないかと錯覚するくらい。本で眺めるのと立体で表現されたものを見るのとは大違いだなと実感しました。
目の前に広がる平安貴族の生活の場、圧倒されます。