『心にひびく日本の古典 山口博著
新潮社¥1300』
「清少納言も!?家庭崩壊」
「紫式部も!?老人介護」
とオビにあるように、一般の人がなかなか興味を持ちにくい平安物語がぐっと身近に感じるような内容です。
万葉集・竹取・宇津保・大和・源氏等々と有名どころ多しですが、著者の意訳が若干気になる人もいるかも。私はこの著者の文章好きです。
ただ、
「万葉集=古代サラリーマンの悲哀の集大成」
とか、
「源氏物語=姦通そして老人ホーム」
は納得できても、短編形式の枕草子や大和物語の中の一つのストーリーだけをつかまえて、
「枕の草子=虚構の家」
「大和物語=老人介護地獄」
と言い切っているのは、これから初めて読もうとする人にいらん先入観を与えてしまうのでは、と心配です。
エロい話も数多く紹介されてます。その中でも、めったにお目にかかれないレア古典「小柴垣草子」の批評が超オススメ。
あらすじは、野宮にて潔斎中の斎宮が恋におちて…というものですが、そんなストーリーがぶっ飛んでしまうほど延々と延々と延々と延(以下略)情事を、しかも超具体的な情事を繰り広げていくというお話。
現代語訳は見たことありません。いや、訳がなくても無問題。本能で訳せるという珍しい古典です。残念ながら本書には小柴垣草子の絵巻は掲載されていません。北斎も土下座しそうな春画のオンパレードなんですけどね。
「源氏」で匂宮が浮舟に描いてあげたという男女の睦み合う絵がもしこんなカンジだったら…彼のキャラならものごっつい春画見た時の浮舟の反応を絶対見たがるでしょう。間違いなし。
心にひびくというよりは下半身にひびきまくる小柴垣草子。
著者、紹介のしどころがちょっと違いますよー。