『怪談実話コンテスト傑作選 黒四
メディアファクトリー¥495』
実話、に惹かれて買った本ですが、表題の「黒四(くろよん)」「あなたのうしろにへびがいる」としばらく読み進んでいくと、?あら?なんか読みにくい箇所がちらほら。状況設定とか頭の中ですごくイメージしにくい。ちょっとダレてきたところで後書きの座談会を読んで、ああそっかプロ作家じゃないんだった、コンテスト入選作品集だったんだこの本、タイトルまったく気にしてなかったわーと、途中まで読んで改めて気づいた次第です。
それくらい巻頭第一話『黒四』がよかった。
黒部第四ダム建設当時の怪談、最後はほろり系。怪談ラストがイイハナシダナーになるのってあんまり好きじゃないんですが、これはじんわりきた。何の違和感もないプロみたいな文章。読んでるときはまったく気づかなかったけど、後の作品を読めば読むほどこの作品の巧さがわかる。
だからといって、他の作品が面白くないというわけではありません。
「スターハウス」は文章はちょっとわかりにくかったけど、おそらく作者が一番”怖い”と感じたワンシーンは十分伝わってきたし、「しにますよ」は文章もネタ自体もイヤになるくらい禍々しくてよかったです。
しかし、「しにますよ」の作者、怪談の後日譚として、
時々しらないネコが浴槽で溺れ死んでたり、
シャツの内側がコバエのサナギで埋まってたり、
TVが立て続けに5台ほど壊れたり、
したそうです。それらをこの作者は ”ささやかなもの”ばかりと言う。
あーいるんだよこういうヤツ職場に。
どうでもよさげに言いながら、あきらかに相手が目を丸くして驚くのを期待するヤツ。
しかもこの作者、TVを立て続けに5台買い換えてもフトコロが何ともないらしい。どってことないって言ってるし。上沼恵美子にイヤミ言ってもらえ。
黒木あるじ、思わせぶりな言い回しを好む小金持決定。
今後どの本読んでもこのイメージ持ち続けると思う。
それと最終ページ・投稿怪談に掲載されている『白湯(剣先あおい著)』は続きないんですか?文章がどうみても途中でぶった切りなんですけど!気になる~!