『怪談実話コンテスト傑作選3跫音(あしおと)
メディアファクトリー¥495』
編者が加門七海・東雅夫・平山夢明・福澤徹三の順で表記されているのがいつも気になる。まえがきも東氏、巻末の選考会の司会進行役(?)も東氏なのだから、東雅夫の名前が最初でもいいのでは?と思うんですがねーなんで加門?まあ単にアイウエオ順なんだろうけど。
同シリーズ『2人影』を読んで、プロの作品とアマの応募作品てやっぱこんなにも差があるんだなーとちょっと落胆し、3は買おうか迷ったんですけど、これはとても面白かったです。
特に良かった作品を挙げると、
『いなさった』
この方言のニュアンスがわからない人には作品の面白さが伝わるかどうか。怪談実話の中に土葬の風習が描かれていて、それだけでも十分面白いのですが、すでに土葬済みのホトケさんをうっかり掘り起こしかけて、「うわァ!いなさった!」ってすごい怖い。作者の場面描写も現場が目に浮かぶよう。こういう手法の怪談てあんまり見たことないので、この作品読んだだけでも買った甲斐があったかなーと。
『人身事故』
作者の乗る電車で人身事故が起きた。興味津々で窓の外の作業を見て浅ましくしゃべくりまくる数十人の野次馬たち。いたたまれなくなった作者だったが、実際の電車の乗客は5人ほどしかいなかったことに後で気づき…というストーリー。
牧歌的な田舎の昼下がりと、人身事故が発生した車内の不気味な風景の落差は、十分インパクトありました。