『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪談現場』

 

『怪談現場 東京23区 吉田悠軌著
       イカロス出版¥1400』
『怪談現場 東海道中 吉田悠軌著
       イカロス出版¥1500』

とうもろこしの会のポッドキャスト配信でおなじみ、会長吉田悠軌氏の怪談本2冊です。東京23区限定の第一弾と、現代の東海道=国道1号線沿いに限定した第二弾。

正直こんなにフットワーク軽く全国あっちこっち動き回って調査している人だとは思いませんでした。
初めて聞いたネット配信は、女性に対して特殊な嗜好を持つ人との対談でした。その中で、ウサギのアレが分厚く敷き詰められた女性の部屋の話を聞き、超ドン引きしつつもクセになって以来、配信をごくごくたまに聞いていますが、「お金ないし貧乏だし」と嘆いていた吉田氏が好評につき第二弾にこぎつけるなんて素晴らしい。

どちらの本も、その土地の怪談伝説や実際起きた事件の遠因求めて徹底検証しています。現場に足を運んで識者の話を聞き、ローカル新聞や古地図などを探しまくる。その姿勢に好感度爆上がり。吉田悠軌氏を尊敬する日がくるとは思わなかった。

東京住みじゃないので、東海道中編の方が断然面白かったです。神奈川逗子のトンネル怪談の流行の変遷はとても興味深く読めたし、静岡熱海の遠藤周作の心霊体験は『三つの幽霊』とはまた違った角度から考察しててやはり興味深い。さらには2ちゃんねるでその昔盛り上がったきさらぎ駅や蛭子温泉はどの現場をもとに創作されたのか、こじつけでも特定しています。
怪談が人々により伝えられるうち内容が変化していく、その発生源を知りたい著者の熱意(と言ってもクールだけど)あふれる2冊です。