『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『心に残った幽霊供養』

 

『心に残った幽霊供養 高田寅彦著
          学研¥1600』

お寺のお坊さんが体験した実録怪談本です。もちろん昔話じゃなくて現代の。
表紙が親子のほのぼのした絵ですが、中身の方は、表紙のイメージを思いっきり裏切るおっかない話ばっかりでした。

怪談系の中では、とても良識的な本だなあと感じました。
まず、著者が現地に赴いて体験した坊さん本人にきちんと取材しているところがいい。
冷静さを失わない文体、説法臭さゼロ、最後はきちんとお坊さんが供養する点もいい。
坊さん本人が霊を怖がって逃げたりとかしてないし、織田無道的坊主もいなかったし、マスコミや雑誌社のように怪現象の因縁をおもしろおかしく暴いたり追求したりもしてない。成仏させてあげねばならない魂が迷っているのなら、ひたすら供養する。霊の「人間としての尊厳(?)」を決して踏みにじったりしない。
その姿勢が一貫しているのがよかったです。

13話構成。第一話(魂が宿った人形)からして怖い。人形周辺の怪現象も怖いですが、等身大の少年人形を超リアルに作った親御さんの心情が怖ろしくも哀れでなりません。第四話(封印された怨霊)もページをめくるのが怖かったなー。不気味でイヤーな話No.1です。

ところで、この本が表紙の装いも題名も変えて数年後に再版されました。
これです↓


イメージ変わりすぎ。以前、
「単行本から文庫化されるとき、本のタイトル変えるんじゃねー!」
北野誠の心霊本に怒りをぶつけましたが、この本も相当な変わりよう。まるで雑誌『ムー』のテンションです。
「あっ第二弾が出てるww」と手にとって、目次見た時のがっかり度ったらないですよ。