『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪談の学校』


『怪談の学校 怪談之怪著
   メディアファクトリー

怪談之怪。メンバーは京極夏彦・中山市朗・木原浩勝東雅夫の4名。

タイトル「怪談の学校」でぐぐるとアマゾン以外はぜーんぶ「学校の怪談」ばかり。圧倒的多数の「学校の怪談」に強制変換させられ検索してるようです。タイトルかなり損してる感あり。著者名打ち込んでようやくちらほら見かける程度。ちらほらの「ちら」くらい少ない。
内容は、「怪的なもの」を仕掛ける側の裏事情?とか怪談の投稿作品を著者らが合同で批評しあうなど、ちょっと珍しい本。怪談を作る側の人のための本です。

ホラーの亜流だった(と著者らは言ってる)怪談が、怪談に特化した文芸誌『幽』を創刊できるに至るまでをああだこうだと座談してるんですが、その中で、『新耳袋』は体験談をもとにして途中をごっそり削ったり話の順番を入れ換えたりした創作怪談だと語ってます。「怖さ」のツボを際立たせるためなら実録である必要はない、と。たしかに、いわくつきの旅館で見るモノは、人の骨や這ってる死体じゃなく、長い髪の毛や捨てられた靴のような、
「かつて人間に関わりのあった事を想像させるモノ」
を書き加えた方が怖さがそそられますよね。

素人の投稿が、著者陣の添削指導によって、ツボをおさえた迫力ある「作品」になるまでの過程も見れてよかったです。

あと、京極氏が幽霊なんていないとか憑依霊や地縛霊だの嘘っぱちとか言い切ってますが、怪異を書くことを商売にしていてこれを言っちゃうのってすごいと思いました。