『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪談和尚の京都怪奇譚』


『怪談和尚の京都怪奇譚 三木大雲著
         文春文庫¥562』

下からのライトアップに照らされ、和尚さんがうらめしやーのポーズ。そんな表紙。
くだらない表紙ですが、中身はさすが和尚さんが自分自身で見聞きした話ばかりなので面白かったです。

仏教言葉の色即是空・還着於本人・因果応報・愛別離苦などの難しい言葉を、実話怪談を通じて一般人にわかりやすく教える、そういうスタイルの本です。

職業和尚さんなので、普段は説法や講演などの『語り』が中心なんでしょう。
耳で聞く『語り』だったらすんなり恐がれて、「ああ怒ってばかりや悪いことしたら、自分に必ず返ってくるんだヒイイ」と自らの生き方を反省できるんでしょうが、文字で見るとすんなり入り込めないwしみじみと恐い話ばかりなのに。

殺人事件で10年服役、出所後の7年目に起きた恐怖の出来事。前科の過去を隠して知り合った女性と結婚して息子5歳。もうこの時点で「早っ出来婚?その前に生活資金貯めるとかきちんと計画たてることいろいろあるだろw」とか余計なこと思い始めて、ゼンゼン入り込めなかった『贖罪』。
オチみたいな一行セリフを最後に吐く幽霊なんておるかいっと突っ込んだ『間違い電話』『盗難車』さすが吉本新喜劇で育った関西の坊主ww。
設定に何かムリある『アルバイト』『神鳴り』。

『お守り』死んでもおかしくないくらい大破した車なのに軽症の運転手。このテの奇妙な話は好き。
『お土産』部下の怨念ぶりが超現実的ですごく恐い。

文章で読むと、夜中でも平気でした~。
でも、説法ネタとして聞いたら、絶対におぞ気の走る話ばかりに違いない。