『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『事故物件怪談 恐い間取り』


『恐い間取り 松原タニシ著 二見書房¥1400』

今から10年以上前、北野誠の『おまえら行くな』で、心霊現象をカメラに収めるまで事故物件に住みづつけろという企画がありました。当時この本にドはまりしていましたが、「北野誠の思い付き企画で…この知らない芸人さん、プライベートの時間も仕事に捧げるのか」ストレスで発狂するんじゃないかと心配した記憶があります。
それが今や、映画化されて主演は亀梨、ラジオはレギュラー番組数本に特番多数、TVの実話怪談番組ではよく見かけるまでに大出世。「事故物件」はとても狭くて特殊な分野だけど、もうこの分野ではてっぺん勝ち取ってる感がある。
ご本人が後書きに「人と違う事で人に認められたい」と書いてますが、タニシ氏、事故物件に住みます芸人として十分成功していると思う。仕事途切れていない感じするし、関西事故物件突撃企画ならタニシ氏が一番場数踏んでると思うし。

事故物件の間取り図に必ず1ページ割いてるので250ページのわりに早く読み終われます。タニシ氏が実際に生活した事故物件、事故物件の住民に取材した話、事故物件的な場所などで構成。タニシ氏が暮らした事故物件は5軒です。

タイトル「恐い間取り」はすごくそそられるワードですが、実際は間取りが不可解だとか不気味だとかではなく、どの間取りもいたって普通。その部屋で起きた事件や事故による人の亡くなり方の異常さが問題なのです。

どの物件も不気味だったけど一番イヤだと思ったのが「事故物件五軒目」。
壁に貼ってあった貼り紙や絵画のシミがそのまま浮かび上がってるって絶対おかしい。掲載されてた壁の写真が何とも気持ち悪かった。タニシ氏本人も、「この部屋は住んでてどんどん体力が削られていく、疲労感がたまるばかり」と言ってた。
一番イヤな物件が五軒目の話なら、一番恐怖を感じたのは「事故物件二軒目」。
まだ捕まっていない通り魔事件の犯人が、自分がかつて住んでいた部屋に逃亡中戻ってはドアノブをガチャガチャする、郵便物を取っていく。何も知らない現在の住人は何かヘンだなあと毎日思ってる。
事実を知ったら知ったでこんなMAXな恐怖ないで。