『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪のはなし』


『怪のはなし 加門七海著 集英社文庫¥572』

怪談ロケを収録したテープを後日編集しようとしたら機材が再生できないとか、肝心の箇所だけ紛失したとか、あるいは怪談本読んでる時に額縁が落ちただの屋鳴りがずっとしてただの、箔づけ的な話はよく見かけますよね。
一度もそういう経験ありませんが、このたびついに私も怪現象に遭遇しました。

この本うっかり2冊買ってもうた。

ネット通販で買ったままずっと放置、購入したこと自体完全に忘れてました。¥1400のムダ買い…何て怖ろしい。これを怪現象といわずして何を怪現象というんじゃ。
著者に対して、「そんなにしょっちゅう怪異見てるんなら、怪現象が起きてる最中に脳内のどこらへんが活発に動いているか調べてもらったら」なんて思ってるから、バチが当たったに違いない。
そんなわけで読む前から相当ヘコんでしまった本なのですが、読んだあとも、著者の「脳が見せるモノに対しての個人的な所感」をエッセイ風に仕立てた本、という思いがますます強くなっただけで、おどろおどろしい怪談本という印象はまったくありません。
著者は、自然への畏敬の念や、大昔から日本人が持ち続けている神さまへの信仰の心を非常に大事にしていて、自らが出会う怪現象を通して、その向こうに見え隠れする「神の存在」を感じることを喜びとしているような印象を受けました。人智を尽くしたって自然の猛威にかないっこないのは日本人なら骨身にしみてる。自然を正しく畏れよ、という著者の姿勢にとても好感持ちました。