『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『新耳袋 危ないパワースポット』


新耳袋 危ないパワースポット ギンティ小林
          洋泉社¥1200』

心霊スポット突撃取材系の中でも、超イロモノ企画満載でグダグダな本でした。
このシリーズ全部読んでますが、こんなに身内ネタでひたすらページつぶしているのってどーなんよ、とちょっと怒りがこみ上げました。心霊スポットで霊を挑発するネタに尽きちゃって、「そんじゃ現場で一人演芸(本人らは儀式と称しています)をやるってことで!」みたいな方向になったとしか思えません。

心霊現場での、ホストを真似たシャンパンコール芸、ブリーフ一丁芸、絶叫ラップ。心霊現象を捉えることは二の次、とにかくこれらの一人芸(儀式)を現場で演じるまでの過程が、内輪ネタを交えつつ延々と延々と書かれ、好きじゃなきゃとても最後まで読む気がしないんじゃないでしょうか。心霊ゲリラ取材の意気込みを読むのが好きなシリーズなのに、これでは素人芸人がネタを作り込んで本番にいくまでのメイキングを読まされているようで、かなりがっかりしました。
挑発行為を心霊スポットで行い霊の反応を待ったというより、内輪でしかウケないネタを披露した場所がたまたま心霊スポットだった、という見方で読んだ方がまだ納得いくというもんです。メインは霊かスタッフか。スタッフのキャラ説明とかギンティが熱く語れば語るほど、読み手のテンション下がるし。仲間うちの話なんかどーでもええわ。

その中でわりと身近なスポットがひとつ。
通天閣にある「首吊り廃墟」。本には、

新世界のど真ん中、通行人に埋め尽くされる繁華街の中に隠されるように、大人2人がやっと通れるくらいの狭い路地があり、その先わずか20メートル、グロテスクで異様な廃墟が…

とまあ不気味で異空間めいた書かれ方してますが、スパワールドの入り口の階段の、道を挟んでド真ん前にこの廃墟があるんですよね。もちろん明るい日中でしか見たことなく、最初この建物(?)に気づいたとき、「こんなボロいの放りっぱなしで危ないなあ」と思ったのを覚えています。スパワールド付近は健全さとヤバさが混沌とした町。真横に廃墟と化したフェスティバルゲートもある。確かに異様な雰囲気ですが、新世界ならそんなこともアリだと思う。毒気に当たったんじゃないですか?
ギンティがどれだけおどろおどろしく話を書いたとしても、
「あの地帯なら何があっても不思議じゃないよ」
「そのせいで何かに巻き込まれたとしても、踏み込んだギンティたちが悪いよ」
と大阪周辺地域の住民も納得する場所だと思う(心霊とは違う意味でも)。