『怪談実話FKB話饗宴 平山夢明 他著
竹書房文庫¥648』
怪談作家16人による怪談実話アンソロジー。
前書きで監修の平山夢明氏が、
『饗宴、もっと乙な言い方になりますと、ごった煮、ということになりましょうか』
と書いてあるとおり、いろんな作家さんのいろんな文章を味わえる本。
こういう本で、好みの文章を書く作家を新しく見つけるのもいいかも。
全31話。一番心に残った話は、トップバッターの朱野帰子氏の2話。
両話とも美容室を舞台にした怪異譚。とんでもない長さの髪を持つ女の子がやって来る『切らないで』。新人美容員にまつわるジンクスが不気味な『選ばれた新人』。
途中でおかしな新興宗教にハマってそうな狂気めいた母親が登場する『切らないで』と、美容室のスタッフ全員がいい人すぎて逆に違和感を感じる『選ばれた新人』。
実際にありそうな話で、自分がこんな現場を見たらいやだな~と嫌悪感を感じさせるあたりがすごく良かったです。
あと、本に差し込まれている既刊案内のペラペラ小冊子の中の、「人気作家による書き下ろし実話怪談リレー」という超短編がおもしろかったです。この話がこの本の中での一番好みだったかも!
久田樹生氏の『啼く』という話ですが、とあるスナックに呑みに来た和食の板前さんが、スナックで使っている包丁を見て…という話。包丁を見た直後の板前さんの一言の書き方が自分的にすごく怖かった。