『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪談実話FKB饗宴5』


『怪談実話FKB饗宴5 平山夢明竹書房文庫 ¥648』

表紙は「見ると死ぬ(でも見ようが見まいが生き物は普通に必ず死ぬw)」絵。
椅子に置かれてる首。。。椿鬼奴さんこんなところで何してはるんですかwと声かけたくなるくらい激似の生首。

このシリーズももう5弾。いろんな職業の執筆者が毎回ちょっとずつ混ざってるのがいいですね。通常の怪談作家とは違う熱い温度を感じる文章で、業界の中の不思議な話とかが披露されてるのがうれしい。今回はまったくの異業種(医者とか旅行業者とか)からの参加がなくて残念です。

一番心に残ったのが『異邦人』。長い間完全放置してた先祖の墓にお参りし、あまりの荒廃ぶりに涙した著者は大急ぎでお墓を建て替えたのですが、その時やはり同じように荒廃していたちょっと変わったお墓を見つけ写メしたのですが、その後その写メがとんでもないことに。。。という話。
だいたい着想からしてイイ!ご先祖さまのお墓にきちんとお参りしてると胸はって言える人なんてそうそういないはず。「行ってないんで手入れとかゼンゼン」と後ろめたさや申し訳なさを感じてる人が圧倒的だと思う。まずその大多数の一般人が抱いている「先祖の墓に対しての後ろめたさ」を刺激する題材だというのが良い。あと自分トコの墓が知らないモノにじわじわ侵食されていく過程も秀逸。映像が目に浮かぶようです。
ウチのお墓とよそのお墓をそれぞれ写メしたら霊界でつながっちゃって~は苦しい理屈だけど、ご先祖さまのお墓にすっかりご無沙汰な人たちの後ろめたさにつけこんだ設定がよかったです。
この話読んでお墓参り行った人がいたらいいな。自分行ってないけど。

あとどこかのブログでお見かけした指摘に、「作家が一人表紙からもオビからも抜けている」というのがありました。指摘されてたとおり、これは本当に失礼過ぎます。私も以前買ったマイナーな単行本で、落丁というか明らかに数行抜けてて文脈まったく繋がってない箇所があって出版社にメールしたのを思い出しました。その時の出版社の返事は「あなたが買ったのは初版ですね。2版以降は改善されてますので、必要なら2版以降を購入してください」こんな木で鼻をくくったようなメール来ました。落丁だけでもムカつくのに、表紙から名前抜けてるってどうなん。この出版社、誤字がすごく目立つとたびたび書いてますが、表紙やオビから作家名抜けてるって最低の脱字ミスじゃないの?