『鈴なり星』の雑記

こちらは『鈴なり星』の平安時代物語や創作小説以外のブログです

『怪談与太話』

 

『怪談与太話 伊計翼著 イカロス出版 ¥1204』

全国で怪談を蒐集し続けるヘンな団体「怪談社」が贈る新感覚の怪談×爆笑エッセイ!
すいません、死んだ嫁が化けて出るんで、今夜はドロンで(オビより引用)。

死んだ嫁がどうのこうのは本文とはまったく関係なく、終始一貫してこんなトーンの話が続くという例文みたいなものです。落語のようなマクラから始まり本文へ。オチはあったりなかったり。著者の楽しい寄せ芸エッセイ、恐さと笑いが同心円を描くさざ波のように次から次に広がって、とても心地よく読めました。

マクラと本文の落差が大きすぎて、読み手の自分がスムーズに入り込めない話もちらほら。「怪談社のはじまりのこと」「すべてをルックスで決めてもいいのこと」などはマクラと本題ぜんぜん関係ないし、怖ろしい本文のつかみに何故こんなほのぼのした導入話を選んだのか、著者の脳世界を疑う(誉めてます)。

ついでに言うと、「霊感とか、そういうのは困るのこと」で、
”霊感そのものを特に信じてもいません”
"そういうことをいう人をちょっと卑下しているところすらある”
と言い切ってなお、怪談イベントにいそしむ著者のスタンスを尊敬すらしています。